2020/08/29 13:58

お客さんから


「この間の記事に書いてあった、『声優落語天狗連』の時のことなんですが。一之輔師匠が一言目で会場をひっくり返し、、と書いてありましたが、なんて師匠は言ったんですか?」

とご質問がありました。

お答えします。

師匠がおっしゃった一言が

「うるせえな!」

です。

山寺宏一さんの高座が終わり。
会場に終演のような空気が漂っていました。
もう、お目当ては終わりましたよーみたいな脱力した感じ。
山ちゃんの高座もすごかったもの、、。

袖から出てきたプロデューサーのサンキュータツオさん、吉田尚記さんが
「もう満腹ですー、もう入りませんー」
と言ってるような客席に向かって、この後出てくる一之輔師匠が、いかに凄いかを話し始めました。

「声優さんに落語を稽古して、お客さんの前でやってもらい。そのあとに本物の落語家が出る。そのコンセプトで3日間開催なのですが、このイベントを締めくくるのに、いったい誰がいいんだろう、、。もう、いろいろ考えた挙句、やはりこの人しかいない。と、春風亭一之輔さんにお願いしたんです。」

「1年に1000席近くも落語をやる。それを何年も続けている。そんな人は、落語の歴史の中で、この人しかいません。この人が新しい落語の時代を作っていきます。」

「もう、一之輔はある意味実験生物です。この人が年を重ねるとどんな落語家になるのか。みんなが注視しているんです」

「だから、とにかくお楽しみに!すごいんですから!ね!」

ちょっと興奮しすぎて疲れて、ダレてきている客席に向かって、一所懸命説いている。

そんな状況で、師匠は高座に上がられたんです。

会場は割れんばかりの拍手。
「そこまで言われるんなら、凄い人なんだろなあ、、」
と、みんなが思って、
パチパチパチ。
パチパチパチ。
パチパチパチ。

座布団に座ってお辞儀をし、拍手喝采の客席に向かって放ったのが

「うるせえな!!!」

です。

どかーーん!と大爆発。

これが、間も声量もカンペキな響き。
ちょっと怪しんでいた客席に、一気にスイッチが入ったんです。

あー、かっこよかった。
一生忘れられないな。

しかし、この間聴いていて、「らくだ」にはいろいろ難しい言葉が溢れている。

「つきばん」
「ながや」
「かんかんのう」
「くずや」だって、若い子は分からないよね。

分かんなくても、引っ張っていけるんだよなあ、、芸のチカラで。
すごいや。

この前、こしら師匠と話していても、

「へっつい」なんて俺もよくわかんない。
でも、わかんないのを別に隠さない。
お客さんはついてくるし。

と、話されていた。

リアリティを追及して、いろいろと調べて体に入れていくってやり方が普通なんだろうけれど、、。
「お客さんに伝える」という表現力のある人間にとっては、不必要なことなのかもしれない。
お二人とも、なんだかよう分からんチカラで、お客さんを引きずり回しちゃうモン。
世界を外から見せるんでなくて、その世界に引っ張り込んじゃう感じ。
映画とか舞台じゃなく、一人でやってて、だよ。
途轍もないことだ。
喬太郎師匠とかも、そうだもんなあ、、。
でも、喬太郎師匠は見せることも出来るなあ、、。
両方できるってのも、とんでもないなあ、、。
ううーん、、。

凄い芸人は理解するのが難しい。
次元が違う。
オイラみたいな凡人とは違う面で、いろいろなものを切り取っている。
見え方、感じ方が普通でない。
でも、お二人とも、人としてホント、きちんとされていて。
そこがたまらない魅力となっている。

いやー、ひとつひとつが勉強になるや。

さ、この後16時から、「Hallo 中堅」ですよー!
こしら師匠はリモート出演。
昨日は札幌にいらっしゃいましたが、今日はどこからかなー。

今日は、新商品出しますー。
お楽しみにーー!(⌒∇⌒)