2020/12/30 17:58
「うーん、、」
「、、、。」
いつもは、師匠がいらっしゃると嬉しくて、ぱーぱーと身近にあったバカな話をして、「わはは」と笑っているんだけれど。
この時はさすがに師匠が考え込んでいる時間が多く。
「これは、のらりくらりしていたらダメだな、、」と思った。
店を見渡せば、ジャングルジムに子供の自転車やお絵かき帳、紙工作の本や絵本などがあちこちに。
まるっきり遊技場に変わっていた。
今思えば、よく腹を括って完全に遊ぶ気になったなあ、、と。
自分もやっぱり針の振れ方がちょっとおかしいんだろうな。
でも、緊急事態が明けたからって、コロナウイルスが無くなる訳ではないし。
「さ、元通りに営業だ!」なんて訳にはいかないのだ。
手元にあるお金は、毎日どろろんと溶けて行ってしまう。
師匠が真剣に考えている姿を見て、
「この休業期間は、きちんと遣わなければいけない。」
そう、褌を締め直した。
ごめんね、はるちゃん。遊べなくて。
以前から、通販の構想は練っていた。
ただ、通常営業との兼ね合いでなかなか動けずにいて。
(まあ、これも所詮サボっている口実でしたが、、)
改めて、書き溜めている営業ノートを開いて、実施に向けてまとめて。
チーフに相談し、とりあえず動いてみましょう、と。
4月後半に、ハンバーグ、餃子、ソース類の通販を始めた。
道具を一から揃えなければならないのがしんどかったけれど、まあネット社会で助かった。
どれもこれもパソコン・スマホで検索して2日後には店に届いて。
本当に今は便利だよなあ、、。
また、ちょうど、カミさんも週に半分くらいの出勤になっていたので、一所懸命知恵を働かせて手伝ってくれた。
これには、とってもとっても助かった。
大きな絵は描けても、細かい作業がとにかく苦手なオイラをばっちりサポートしてくれる。
いま使っている商品の容器や袋なんかは寸法を測り、調理法を考えて、すべて揃えてくれ。
その見立てはまったく間違いなく、今も変わらずに使っているものばかり。
チーフしかり、カミさんしかり、きちんと支えてくれる人がいて、ひとつひとつ成り立っていっている訳だ。
本当に幸せなことで、感謝感謝。
最初は商品の種類が少なかったものの、慣れないことばかりで大変。
あちこちに迷惑をかけたに違いない。
本当にすみません、、。
仕込みも追いつかなかったし、送るのも追いつかなかったし。
また、同時期に通販やテイクアウトを始めるところも多く、空前の容器不足。
全国的に、一気に梱包資材や食品の容器が品薄に。
取り寄せるのにもめちゃくちゃ時間が掛かってしまうこともあった。
その都度、発送は中断。
もー、とにかくテンパっていた。
そんななか、店にお見舞いをもって訪ねて来てくれたり、「頑張ってね」と涙流してお金を置いて行ってくれたりした友人も。
ありがたい気持ちでいっぱい。
そのつど、「負けてらんねえど」と心を燃やして。
昼も夜もなく、店で作業作業の毎日。
仕事の合間に子供と遊んで。
そのうち、「おてつだいするー」なんて言うから、
子どもにも段ボール張りやシールの準備など教えて。
じゃあ、お給料を払わなきゃーと作業量でお給料をつけて。
それを貯めてスムージー買ったり、トミカ買ったりしていた。
保育園再開のとき、
「はるくん、お休みのとき、働いてたヨ。お給料もらってアースグランナーのトミカ買ったんだヨ」
なんて先生に言ってびっくりされてた。
3歳で働いてるなんて大したもんだ、えらいえらい。
しかし、いろいろ頭打ち。
注文取って、住所を教えてもらい、振り込んでもらい、それの確認をして、、という作業がとにかく手間。
これはどうにかならないもんか、、と思っていたらちょうど、こしら師匠が動画で「BASE」のショップづくりの方法を上げていて。
見よう見まねで作ったらものの5分でできた。
そして、とっても使い勝手がよく、便利。
そりゃ手数料はかかるけれど、ここまで任せられると楽チン。
余裕が出来れば商品も作れるってんで、カレーやらキムチ餃子やら少しずつラインナップを増やしていけて。
ペースが出来つつあった。
その頃、こしら師匠は相変わらずちょこちょこ店に来てくださり、配信の会場としてウチを使ってくれたり、落語家さんと繋いでいろんな配信技術の講座などをウチから配信されたりしていた。
やっぱり師匠も変わっているから、何もかも完全にオープン。
「google」とかとやっていることが一緒なんだよなあ、、。
配信を見て、「なるほど、こうやるのか、、」と勉強になっている人、たくさんいるに違いない。
現に、ウチのBASEショップもそうなんだもん。
iPhoneの修理とかも配信でやってたなあ、、。
昔々、師匠が復帰して間もなくで、時間があった頃、オイラもiPhoneの画面をぶっ壊してしまい、師匠に直してもらったことがあった。
神田のドトールコーヒーで、先端が細すぎて肉眼ではプラスかマイナスかが分からないようなドライバーを沢山持ってきて、てきぱき画面を新品に取り換えてくださった。
でも、修理終わった後に聞いてみたら、
「はじめてやった」、と。
「え!」
「まあ、多分大丈夫だろう、と。仕組みは理解しているんで」
「、、、」
幼いころ、家じゅうのものを分解して元通りにしてたと話していた師匠。
今はネット上にものの仕組みについては溢れているから、それらをさらーっと見るだけで実践できるんだろなあ。
懐かしい思い出だ。
コロナで世の中大変だけれど、師匠は忙しそう。
配信の技術を持っている人がまだ少ないころだもの。
落語だけでなく、一般の企業からも頼まれ、いろいろな仕事を並行してこなされていた。
思えば、配信についても、2019年の後半から、かしめさんに配信についてのレクチャーをはじめていた師匠。
コロナウイルスなんて見据えていたわけでは無いにしろ、師匠の勘で、「この技術は習得しておいた方が良い」と思ってかしめさんに課したはずなんだ。
そして、必死に覚えた配信技術がこのまさかのコロナ渦で、めちゃくちゃ活きた。
かしめさんも、配信できる落語家のパイオニアとしてあちこち引っ張りだこに。
とにかく、師弟ともに忙しそうにしていた。
あの先見性はなんなんだろなあ。すごいな。
そして、その先見性をウチの通販にも使ってくださった。
6月。
志らら師匠とウチで待ち合わせ。
「ゆにおんが通販を始めたから、その宣伝の番組を二人で作ろうヨ」、と話し始めた。
つづく